研究:認知症支援犬の提案と育成

  • ICT機器を登載した認知症支援犬の提案

 
私は、ICレコーダーなどの電子機器やICTを活用して認知症の方の生活支援を試行してきました。例えば、ICレコーダーからアラーム音や音声を自動出力したり、設定時に「薬を飲もう」などを、アラーム音と共に1日に必要回数出してきました。また、テレビ電話を介したスケジュール支援やボランティアとの会話支援、音楽による行動誘導、日中の行動の音声・映像記録の取得などもおこないました。


しかし これらから「薬を飲もう」「散歩に行こう」と誘っても、従ってくれない場合も多くありました。原因は、意欲を引きだす、または遂行を促す方法がいまだ研究されていなく、さらに機器を持ち忘れることや、携行を拒否する場合の対処法、本人を探して情報を呈示する方法などの対処法も未確立だからでした。現在でも、これらを解決する方法はほとんど提案されていません。


ペットロボット、介助ロボット、救助ロボット、コミュニケーションロボット、掃除ロボットなどがありますが、しかし、階段、庭、畑などでは行動がかなり制限されます。移動する本人の追尾も困難で、さらに、高価、事前プログラムを要します。


もし犬が癒しを与えるとともに、情報支援にも介在すれば、以上の問題がある程度解決できると考えました。つまり、犬にICT機器を登載、犬が機器のアラーム音などを聞くと、犬が本人を探しだし、接近して意欲を引き出す、接近時に指示音声を自動的に出して日課を促す、本人の好む音楽や情報呈示、例「薬を飲んで」などをだす、家族と登載したスマホからテレビ電話などを行うことができると考えました。そして、これを「認知症支援犬」と名付けました。

 

2017年現在まで、計4頭の犬に「音を聞いたら主人のところに行く」試みをしたところ、全頭とも、3,4日でそれが可能になりました。 


以上の提案を学会や研究会で行い、さらに賛同者と「認知症支援犬を育てる会」のホームページをつくりました(以下、より飛べます)。

 

2018年10月現在以下に、3匹の犬の動画を載せました。

 いずれもICレコーダーの音が自動的に鳴ったら、主人のところに駆けつけ、「薬をのむ」、「日記をつける」を促します。さらに、あるものを咥えて持ってくるの画像です。応用案や育成方法あります。ぜひご覧下さい。